子どもの吃音が気になるときは、話し終わるのを待ち、伝えたかった内容に応じる関わりを考えられます。話し方を直す家庭の訓練を急ぐより、本人の困り方や園・学校の状況を言語聴覚の専門家等へ相談できます。親の話し方が原因だと決める必要はありません。
つまった回数だけでは、本人の負担は分からない
音を繰り返す、引き伸ばす、言葉が出る前で止まるなど、吃音には複数の現れ方があります。NIDCDは、話したい内容は分かっていても、発話の流れが難しくなる状態として説明し、一日の中や話す状況で変化することも示しています。[1] 家で少ない日があることだけで、園でのつらさを否定できるわけではありません。
周囲には軽く聞こえても、言いにくい言葉を避け、自分の名前を言うことを心配しているかもしれません。ASHAの案内も、見える話し方だけでなく、話すことへの感情や避ける場面、生活への影響を評価に含めています。[2] 一方、音の繰り返しがあっただけで、家庭で診断や今後の経過を確定するものでもありません。
説明用の例です。子どもが「今日、きょう……」と話し始め、保護者が続きを言ってあげる場面を考えます。早く楽にしてあげたい親の思いはあっても、本人は「今日、教室であったこと」を自分で話したかったのかもしれません。何を助けるとよいかは、話し方だけから決められません。
言葉を完成させるより、話す時間を渡す
NIDCDの保護者への案内では、話し方へ注意を向けすぎず内容を聴くこと、子どもの文を先に完成させずに待つことが挙げられています。[1] これは毎回完璧に待てる親になる課題ではありません。食卓で皆が次々に話すなら、一人ずつ話す時間を持てるかなど、会話の条件として考えられます。
先ほどの例なら、続きを当てるより、落ち着いて聞ける姿勢を示し、話し終わった内容へ返事をします。本人が手伝いを望む場面はあるため、「言葉を一緒に考えてほしいときは知らせてね」と確かめることもできます。何も気づかないふりを続けるのでも、毎回話し方を説明するのでもなく、その子の希望を聞きます。
「ゆっくり」「息を吸ってから」と繰り返し指導することや、言い直せたかを採点することを、家庭の共通手順として始める必要はありません。支援や治療を受ける場合は、何のためにどんな関わりをするかを専門家に説明してもらいます。保護者の普段の関わりを原因として責めるためではありません。
本人が気にしているなら、話題にしてよい
子どもが「なぜ言葉が出ないの?」と尋ねたとき、聞かなかったことにする必要はありません。「言い始めに止まることがあるんだね。伝えたいことは聞いているよ」と、今見えることと受け止めを短く伝えられます。NIDCDも、子どもが話題にした場合には、率直に話すことを勧めています。[1]
ただし、本人の前で他の大人と将来の心配を詳しく話し続けることは、別に考えます。「いつ治るのか」を毎日聞くより、どの相手や時間が話しやすいか、手伝ってほしい場面はあるかを聞けます。今は話したくない場合も、後で相談できる入口を残せます。
治る割合や期間を一般の資料から一人に当てはめ、「そのうちなくなるから相談は不要」とも、「ずっと続くに違いない」とも決めません。経過、本人の感じ方、ほかの言葉の力等を合わせて、専門家と支援の必要を考えます。[1][2]
園・学校では、話し方より周囲の対応を変えられることも
発表や名前を呼ぶ場面で困っているなら、担任等へ具体的に伝えられます。「時間を急かさず最後まで聞いてほしい」「皆の前で話し方を評価しないでほしい」など、本人の希望を踏まえて相談します。発表のすべてを外す、同じ方法で必ず参加させるという二択にせず、評価する内容や伝える手段も確かめます。
からかいがある場合は、本人の話す練習だけで解決しようとしません。「気にしないように」と求める前に、何が起き、学校がどう安全を守るかを相談します。本人が言葉を変えたり話すのを控えたりして困りごとを避けている場合も、生活への影響として伝えられます。[2]
学校へどこまで説明するかは、本人にも分かる形で知らせます。クラス全体への説明を望む子も、今は担任だけに知ってほしい子もいるかもしれません。本人を説明係にせず、どの大人が、誰へ、何を伝えると助かるかを専門家や学校と相談できます。
家族の中でも、待つ人と先に言葉を補う人が違う場合があります。誰が正しいかを子どもの前で争うより、「話し終えた内容へ返事をすることを一緒に考えたい」と大人同士で相談できます。本人が望む助けを聞き、専門家の説明がある場合はその目的もそろえられます。
相談先には、いつからと何が難しいかを
かかりつけの小児科、ことばの相談や言語聴覚士が関わる医療・相談機関等へ、対応している窓口を確認できます。専門家の評価では、始まった頃の状況、話し方や言語の力、本人の反応、暮らしへの影響等を考えます。[1][2] 海外の資格や受診制度をそのまま日本の条件として示すものではありません。
「発表の前に泣くようになりました」「言葉が詰まることより、人に笑われるのが怖いようです」と伝えられます。動画等が必要かは窓口へ聞き、本人が嫌がる撮影を先に準備する必要はありません。急に話し方が変わり、けがやほかの身体の症状もある場合は、発達の吃音と決めず医療へ知らせてください。
ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の心配や関わりを相談する場で、子どもの吃音の診断や言語訓練を提供するという意味ではありません。「つい言葉を補ってしまう。本人が何を望んでいるか聞きながら、学校にも伝えることを考えたい」と相談できます。話し方の流暢さだけに、その子の伝える力や価値を重ねなくてよいのです。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
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