10代・若者がカウンセリングを受けるとき

カウンセリングは、悩みをうまく説明できる人だけが使うものではありません。学校、仕事、友人、家族、自分のことなど、「何となくしんどい」から話し始めることもできます。

相談するほどのことか、決めなくていい

友人には話せるけれど本当に困っていることは言えない、家族に心配をかけたくない、何がつらいか自分でも分からない。そんなとき、今の関係とは別の相手と話す意味があります。病名がなくても、生活できていても、気になることを話せます。

例えば、進路の話をするたび親と言い合いになり、学校では元気なふりをしている場面を考えてみます。最初に親とのやり取りを全部話さなくても、「家で進路の話をするのがしんどい」「まだ何を選びたいか決まっていない」と言うところから始められます。

初めて会う人に、どこまで話すのか

初回は、最近のことや、困る場面を質問されることがあります。答えが出ないときは「分からない」、話したくないときは「今は話せない」と伝えられます。黙る時間があっても、相談が成り立たないわけではありません。声にするのが難しければ、書いたものや、この記事の気になる部分を見せる方法もあります。

話してみたら別のことが気になる場合もあります。「進路のつもりだったけれど、友人のことを先に話したい」と変えてかまいません。一回の相談で、将来や家族との関係に結論を出さなくてもよいのです。

相談を申し込めたことと、どんな質問にも答えられることは別です。初対面の相手に、家庭や性のことをすぐ話しにくいのは不自然なことではありません。「そこを聞かれると、親に伝わるのが気になります」のように、話題そのものより話す怖さを先に扱うこともできます。話す量を一緒に考える時間も、相談に含まれます。

相談者が何も言わないまま同意しているように見える場合でも、分からない言葉や、その場で断りにくい気持ちが隠れていることがあります。「ここまでの説明で、私が分かっていないところをもう一度聞きたい」と戻ってよいのです。本人がすべてを理解したふりをするのでなく、支援する側も分かる言葉で説明する必要があります。

家族に知られたくないことがあるとき

相談したことや話した内容が、家族へどう伝わるかは、年齢、学校や相談先の決まり、安全への心配などで異なります。「絶対に誰にも知られない」と一律には言えません。詳しく話す前に、「親に伝わるのはどんな場合ですか」「連絡する前に私にも話してもらえますか」と尋ねられます。

予約のメールや郵便、支払いの明細を家族が見る心配も、申し込み前に相談できます。家族に話すこと自体が危険な場合は、そのことを先に伝えてください。家族へ知らせることを、自分一人で無理に進める必要はありません。

秘密について聞くことは、相手を疑うための試験ではなく、安心して話すための準備です。家族への連絡が必要になる場合も、何のために、何を、誰へ伝えるのかは別々の話です。「全部話されるのが怖い」とだけでも伝えられます。学校の学習上の手助けが必要な場合などには、関係する担当者へ必要なことを伝える相談もできますが、心理相談を始めたら自動的に学校生活の決定まで任せる、という意味ではありません。

自分に使える場所から始める

学校のスクールカウンセラー、大学の学生相談室、地域の子ども・若者向け窓口など、年齢や所属に合う相談先があります。利用の仕方が分からなければ、先生や窓口に「一度話してみたいのですが、どうすればいいですか」と聞くところから始められます。

ALVARAの個人向け相談は18歳以上が対象です。18歳未満の本人には、学校や地域の子ども・若者向け窓口などが選択肢となり、保護者は自分自身の困りごととしてALVARAに相談できます。

眠れない、食べられない、学校や仕事へ行けない状態が続く場合は、医療機関にも相談してください。自分を傷つけそうなときなど、今の安全に心配がある場合は、次の予約まで一人で待たず、近くの信頼できる人や緊急の支援につながる必要があります。

参考資料・引用文献:厚生労働省「困ったときの相談先」 / こども家庭庁「相談窓口」 / 日本学生支援機構(JASSO)「心理面・健康面に関する配慮について」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。