高齢の親を心配する気持ちと、会うのがつらい気持ちは両立します。関係を良くすることだけを目標にせず、自分の暮らしを守りながら、どこまで手伝うかを考えられます。
「親だから」で、今のしんどさをなくさなくてよい
会うたびに否定される、急な頼みを断れない、きょうだいから自分だけを当てにされる。年齢を重ねた親への心配に、以前からの家族関係が重なることがあります。介護が必要になったからといって、過去の傷つきが自然になくなるわけではありません。
説明用の場面として、仕事中に「すぐ来てほしい」と連絡があり、行くと急ぎではない買い物だった場合を考えます。断れずに予定を変えることが続くと、親を気にかける余裕まで減ってしまうかもしれません。まず、急いで対応が必要なことと、後から予定を決められる用事を離して考えます。
その場ですべて引き受ける返事にしない
緊急でない用事なら、「今日は仕事で行けません。土曜なら一緒にできます」「今すぐ決めず、予定を見て返事します」と伝える方法があります。理由を何度も説明して納得させるより、できる範囲を短く繰り返すほうが話しやすいこともあります。
親が怒ったり寂しがったりすると、冷たいことをした気がするかもしれません。それでも、相手の気持ちが動くことと、自分の都合をすべてなくすことは同じではありません。連絡する時間や訪問の長さを決めるなど、続けられる付き合い方を考えられます。暴力や脅しの怖さがある場合は、一人で直接話し合うことを先にせず、安全に相談できる第三者を頼ってください。
介護のストレスを考えるPearlinらのモデルは、介助そのものの負担と、そこから仕事、家族関係、自分への見方に広がる負担を分けます。[3] 通院の付き添い時間が同じでも、勤務を何度も変える、きょうだいとの衝突が増える、「自分の生活は選べない」と感じるなら、減らしたい負担は一つではありません。
これは、親の手伝いをしている人すべてに同じストレスが起こるという診断ではありません。関係のつらさを「自分の余裕がないだけ」とまとめず、どこに助けを入れるかを考える枠組みです。用事を代わってもらうことと、家族の中での役割を話し直すことが、別々に必要な場合もあります。
家族の人数ではなく、実際の用事を見てみる
きょうだいと話すときは、「私ばかり大変」という思いに加え、通院、連絡、支払い、日々の確認を誰がしているかを具体的に出せます。遠方にいる人も、予約や書類、費用の確認などを受け持てる場合があります。公平さの答えを一度に出すより、次に代わってほしい用事を一つ頼む方法があります。
親の生活に介護や見守りが必要なら、家族内の相談だけでは足りないこともあります。地域包括支援センターやケアマネジャーなどへ、親の困りごとと、自分が担える範囲を両方伝えられます。サービスを使うことと、家族を大切にしないことは同じではありません。[1]
支援を頼むときは、親に必要な手助けだけでなく、それを自分が担うと何が保てなくなるかも話せます。「毎週の通院は必要だが、付き添いを続けると勤務が減る」のように伝えると、単に我慢を増やす話から、付き添い方や連絡役を組み直す相談へ進められます。制度の利用条件は担当窓口と確認します。[1][2]
昔からのつらさは、別の話として扱える
親と会ったあと、過去のことまで思い出して眠れなくなる、自分を責め続けるといった場合は、用事の分担だけで片づかないかもしれません。心理相談では、親を許すことや仲直りを目標にしなくても、会う前後のつらさや距離の取り方を話せます。詳しい過去を無理に語り直す必要もありません。
親に必要な医療や生活の支援と、自分の気持ちへの支えを別に持つことで、一人で家族の全部を引き受ける形以外も考えられます。まずは、次に頼まれたとき何と返すか、自分が休む時間をどこに作るかから始められます。
参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
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