大人になったきょうだいと疎遠になったとき|連絡と距離をどう考えるか

大人になったきょうだいとの距離に、家族だからという理由だけで一つの正解を決めなくてかまいません。必要な用事の連絡と、もう少し親しくしたい気持ちは、別々に考えられます。

連絡していないことより、何が心に残っているか

説明用の例です。親の通院の連絡で久しぶりにきょうだいへメッセージを送りました。短い返事を見て、昔から自分だけが家族の用事をしていたと感じ、腹が立ちます。それでも、何年も普段の話をしていないことを寂しく思い、どんな返事をしたらよいか分からなくなります。

ここでは、親の用事の分担、昔の不公平感、今の関係への願いが重なっています。「仲直りするか縁を切るか」だけにすると、まず必要な連絡まで難しくなるかもしれません。きょうだいとどれくらい会うのが普通かより、今、何を決める必要があるかを分けてみます。

同じ家庭で育っても、年齢、役割、家を離れた時期、親との関係等によって経験は違います。同じ思い出を持っているはずと考えても、相手は別の意味で覚えているかもしれません。違いがあることは、自分の経験が間違いだという証明にはなりません。

子どものころの役割を、そのまま今の義務にしない

「上だからまとめる」「近くにいるから動く」「昔からしっかりしているから任せる」といった役割が、話し合われないまま続くことがあります。先ほどの例なら、家族の用事を知らせる人、実際に同行する人、費用や書類を扱う人が同じ人へ集まっていないかを見ます。

人数で均等にすれば必ず公平とは限りません。距離、勤務、健康、本人が引き受けたい範囲は違います。ただ、「できる人が黙って続ける」だけでは、合意した分担なのか分からなくなります。「私は次の通院の同行はできません。予約の連絡はできます」と、具体的な用事を分ける方法があります。

相手の返事が曖昧なら、引き受けたと解釈して進めず、用件と期限を明らかにします。介護や医療の判断が絡むなら、家族だけで全てを解決しようとせず、親本人の意思と、担当する医療・介護の専門職を含めて相談する必要があります。疎遠だった二人が急に親密にならなければ、実務を相談できないわけではありません。

関係を近づけたい気持ちは、別の話として扱える

用事が片づいた後も寂しさが残るなら、「親のこと以外でも少し話してみたい」という本人の希望として考えられます。連絡するなら、説明用の言い方として「久しぶりに近況を聞けたらうれしいです。今、短く話せる時期はありますか」と、小さい接点を尋ねる方法があります。

一度の連絡で、昔のことを全て話し合う必要はありません。相手が短い返事をしたから拒絶だと決まるわけでも、返事があれば以前の関係へ戻れると決まるわけでもありません。相手の事情が分からない部分と、自分が寂しいと感じる部分を分けておきます。

過去のことを話したい場合も、「なかったことにして仲良くする」以外の道があります。ただ、相手に同じ記憶や謝罪を引き出せる保証はありません。話すと何を望んでいるのか、望む返答がなかったときに自分をどう支えるかを、先に心理相談で考えることができます。

会わない選択にも、いくつかの形がある

今は連絡しない、用事だけ文面でやり取りする、家族の集まりに短く参加するなど、距離は一種類ではありません。一度決めたら生涯変えてはいけないというものでもありません。NHSの一般向け情報も、人を支える範囲や関係の外に支えを持つことを扱っています。[1] 親密さを戻すことだけを、良い結果にしない考え方です。

ただし、暴力、脅し、金銭の強要等がある場合は、普通の距離の悩みとして直接の話し合いを勧めません。安全な連絡方法や必要な手続きを、警察・福祉・法律等の専門窓口へ相談できます。本人が距離を保ってきた理由を、家族なのだからという言葉で取り消さなくてよいのです。

親や親族から仲直りを求められる場合も、自分が同意していない仲介を受ける必要があるとは限りません。「今は用事の連絡だけにしたい」と、伝える範囲を選べます。相手に自分の住所や相談内容を知らせてほしくない事情があるなら、第三者へも先に伝えられます。

実務の争いと、失った関係の寂しさを分けて相談する

相続、財産、親族間の責任などの話がある場合、心理相談が権利や義務を決定することはできません。法テラスは、法制度や適切な法律相談の窓口を案内しています。[2] 感情が強いから法律の相談を使えないという順番にせず、実務と気持ちを並行して扱えます。

心理相談では、昔からの比較、怒り、もう持てないかもしれない関係への寂しさを話せます。関係を戻したいのか、戻したくない自分を責めることが苦しいのかでも、相談の焦点は違います。参加していないきょうだいの性格や病名を決めて、自分の気持ちを証明する必要はありません。

心理支援では、本人の自己決定や多様な背景の尊重が倫理の原則とされています。[3] 和解や絶縁を一律に勧めるより、本人が今の暮らしで守りたいことを確認する姿勢が大切です。家族関係が変わらなくても、本人の負担を話す相談はできます。

説明用の一言:「親の用事は相談したいですが、昔の役割に戻って全部引き受けたくはありません。実務の連絡と、きょうだいへの寂しさを分けて考えたいです。」

ALVARAの個人相談は18歳以上が対象です。本人の気持ちと選択を扱い、きょうだいへの代理連絡や、法的な争いの判断を行うものではありません。

関連する心理コラム

参考・引用文献

  1. NHS Every Mind Matters「Maintaining healthy relationships and mental wellbeing」
  2. 日本司法支援センター(法テラス)「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」
  3. 公益社団法人日本公認心理師協会(2020年理事会議決)倫理綱領

WRITTEN BY

このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

プロフィールを見る

公開日
最終更新日

記事のつくり方

記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。

心理コラムの記事のつくり方を見る

このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。