人間関係で同じ悩みが続いても、「自分の性格だから仕方ない」と決めなくてかまいません。相手や場所による違いも見ながら、どこで苦しくなる流れができているかを考えられます。
繰り返しているのは、どんな流れだろう
例えば、頼みを断れずに引き受け、疲れても言わず、最後は相手と急に距離を置いてしまう場面を考えます。最終的に離れたことだけを見ると「関係を続けられない」と感じるかもしれません。でも、その前には、自分の予定や疲れを言えない時間が長くあった可能性があります。
ほかにも、気になることを何度も確認するうちに相手が離れる、冗談に合わせたあとで傷つくなど、流れには違いがあります。最近の一度について、自分がどう受け止め、何をして、相手がどう応じたかを話すと、性格の一言では見えなかった部分を考えられます。過去の関係を全部調べる必要はありません。
同じ返事でも、相手や場面で意味が変わる
同じ「引き受ける」でも、喜んで手伝うときと、断ったあとの怒りが怖くて応じるときでは意味が違います。その行動で何を守ろうとしたのか、その場では何が楽になり、あとで何が重くなったのかを見ます。相手の機嫌を損ねないための我慢が、その日は役に立っても、疲れを伝える機会を失わせる場合があります。
ただし、断ると仕事や住まいを失うおそれがある、実際に威圧される状況では、怖さは現実の立場の差とも結びつきます。安心して断れる場面と同じ練習を求めるのではなく、第三者の助けや安全な距離が先に必要なことがあります。
例外の関係が、理解を変える手がかりになる
誰との関係でも同じだったでしょうか。一対一なら話しやすい、短い時間なら疲れにくい、返事を待ってくれる相手には断れた。そうした違いは、たまたまうまくいった話として脇へ置かず、自分の欠点だけでは説明できない手がかりとして扱えます。
最初の例で、「すぐに引き受けないと怒られる」と思っていたとします。予定を見て返事したいと短く伝えたとき、相手が待ってくれたなら、その相手には返事を考える余地があるかもしれません。反対に、実際に責められたなら、その相手に同じ言い方を繰り返すことを課題にせず、距離や支援を考えます。同じ返事の仕方をしても、相手の反応によって次に必要なことは変わります。
関係の流れは、固定した自分の本質ではなく、今ある情報から考える仮の理解です。過去の出来事一つを原因と決めつけず、今の相手、場所、疲れ方も合わせて見直します。「いつもそうなる」という言葉に合わない経験も含めることで、変えられる部分と、自分一人では変えられない部分が見えやすくなります。
相談では、関係の流れの途中を考える
心理相談では、「いつも我慢して、急に嫌になってしまう」という話から始められます。最初の例なら、頼まれたときに何が起こると思ったか、疲れを伝えようとしてどこで言葉を飲み込んだかを、一緒に振り返ります。相手に合わせることでしのいできたことも理解しながら、途中で別の動き方ができそうかを考えます。
返事まで時間を置く、会う時間を短くする、つらい話題は置いておくなど、選ぶ方法は、分かってきた流れに合わせて変わります。試したらどう感じたか、相手がどう応じたかも次の相談で話せます。自分を変えることだけを目標にせず、続けたい関係と、距離を取りたい場面を考える時間です。職場での具体的な返答や仕事の受け方を先に考えたい場合は、仕事の人間関係を相談するときの記事で扱っています。
希望を伝えると暴言が返るなど、安全への心配がある場合は、一人でやり取りを試し続けず、公的な相談窓口や関係の外の専門家を頼ってください。関係を保つ責任を一人で負うものではありません。
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参考資料・引用文献:国立精神・神経医療研究センター「認知行動療法マップ・セルフヘルプ」 / 厚生労働省「カウンセリングについて」
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このコラムについて
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