「自分らしく」と言われても、何を選べばよいのか分からないことがあります。今すぐ自分を一言で説明するより、心地よかったことや、続けたくないことを少しずつ知るところから考えられます。
自分らしさは、立派な目標だけではない
人と話すのが好きでも、毎日大勢の中にいると疲れる。新しいことに興味はあるけれど、生活の見通しもほしい。こうした気持ちは矛盾と決めなくてかまいません。場面によって大事にしたいことが違うのは、特別なことではありません。
説明用の場面として、「人の役に立つ仕事がしたい」と思いながら、具体的な職業が浮かばない場合を考えます。人の話を直接聴くこと、道具を作ること、裏方として仕事を支えることは、どれも誰かの役に立ちます。立派な言葉から職業を一つ選ぼうとするより、自分がどんな作業をしているときに続けやすいかを見てみます。
大事にしたい方向と、達成する目標を分ける
「人を大切にしたい」は、日々の選び方に関わる方向です。「資格を取る」は、達成したかどうかを確かめられる目標です。資格はその方向へ進む一つの道かもしれませんが、取れなければ大事なことまで失われるわけではありません。方向、目標、具体的なやり方を分けると、一つの進路に自分の価値を全部預けずに考えられます。
また、何を大切にするかと、現時点で得意かどうかも同じではありません。興味はあってもまだ練習していないことや、得意でも今は続けたくないことがあります。「できるから続けるべき」「苦手だから望んではいけない」と一つにまとめず、学べる場所や暮らしの余裕も含めて見ます。
最近の一日から、好き嫌いを拾う
昨日少しほっとしたのはいつか、時間が過ぎるのが早かった用事は何か、終わったあとに疲れが残ったのはどんな場か。大きな経験がなくても、身近なことから考えられます。長所を書くのが難しいなら、「少人数のほうが話せた」「急な変更が少ないほうが落ち着く」といった好みでも十分です。
一度の経験だけで向き不向きを決める必要はありません。苦手だったのが作業自体なのか、初めての場所で緊張したのか、教わる時間がなかったのかによって、次に試したいことは変わります。自己分析を増やすより、短い体験や人の話から確かめられることもあります。
周りが決まって見えるとき
同級生が進路を語り、SNSでは充実した生活が目に入ると、自分だけ遅れている気がすることがあります。でも、他の人の見える部分と、自分の迷っている部分を比べても、同じものを比べているとは限りません。
進路に期限があるなら、「一生の答え」ではなく、その期限までに何を選ぶ必要があるのかを確かめます。進学先、応募先、履修する科目など、その時点で決めることを小さくすると、調べる内容も絞れます。親の期待や費用が気になる場合は、その話も含めて進路の担当者などへ相談できます。
試してみることと、長く続けると約束することも分けられます。人の話を聞く、授業を一つ選ぶ、短い体験に参加する段階では、「好きか嫌いか」だけでなく、何をしていた時間がよかったか、何が重かったかを持ち帰れます。その経験で希望が変わるのは、自己分析が間違っていた証拠ではなく、今までなかった情報が加わったという見方もできます。
決められない気持ちも、相談してよい
仕事や学びの情報が足りないなら、学校の進路窓口、キャリアセンター、キャリアコンサルタントなどが助けになります。一方、「どれを選んでも失敗しそう」「親と違う希望を持つのが怖い」という気持ちは、心理相談でも話せます。
担当者に自分の正体を決めてもらうのではなく、何が好きか分からない今の自分を、そのまま話す場所にできます。途中で希望が変わっても、これまで考えた時間が無意味になるわけではありません。まずは、次に一つ確かめたいことが見つかれば、それを持ち帰る進め方でかまいません。
参考資料・引用文献:厚生労働省「キャリアコンサルタントを探すには?」 / 厚生労働省「こころのセルフメンテ」
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このコラムについて
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